初期は子供も大変!言葉もバスケもできない~英語教育移住日記③

このブログは日記形式になっています。
子供を英語バイリンガルにするには教育移住すればよい!と気づいた日~教育移住日記①」からぜひお読みください。

「幼稚園に行きたくない」に慌てたが…

入園して6日目の朝、太郎が初めて「幼稚園に行きたくない」と言いました

その日は年中クラスの社会見学。みんなでミニバスに乗って出かける日です。

大人だって、一人だけ言葉が分からないバスツアーなんてイヤだと共感できるだけに、休ませようかと迷いました。でも意外にも、弟たちを見送るだけと言って車に乗り、幼稚園までついてきたのです。ただ、担任のティーナ先生に誘われてもクラスに入る気配はありません。

ところが、私が「幼稚園に通うのが大変なら日本に帰る?そうしたらもうビーチはないけどね」と言うと、「僕やっぱり今日、参加する」と、念のため持ってきた制服に着替え、さっさとクラスに入っていったのです。気持ちの切りかえは見事でした。

夕方迎えに行くと、本人なりに楽しめた様子。
「朝は眠たいから行きたくなかった」と照れ笑いしていました。

本音か分かりませんが、明日からは通えるとの言葉にホッとしました。

太郎の幼稚園の様子を見たら…

昼前に花子を迎えに行ったら、幼稚園の広めの廊下にバスケットゴールが置かれ、太郎のクラスの子どもたちが集まって、先生の前に座っていました。バスケットボールの試合をするようです。

思いがけず太郎の普段の様子を見られることになり、私は花子を抱えたまま見学することにしました。

太郎はちらりとこちらを見て気づきましたが、動じることなく、すぐに先生のほうを見て話を聞いています。

フィリピンでは、バスケットボールが盛んです。フィリピン中のあちこちの空き地や隙間スペースにゴールが置かれ、男性の若い人から年中者までが遊んでいます。

案の定、先生が「みんな、バスケは好き?」「お父さんとプレーしたことはある?」などと聞くたびに、クラスメイトは「イエース」と元気よく手を挙げていました。

一方、太郎は周囲に合わせるということもなく、微動だにせず先生を見続けています。後で振り返ると違和感のあるシーンで、ここに伏線があったのです…。

先生は、これから行うバスケットゲームのルールを説明していました。

先生「じゃあみんな、準備はいい?」
クラスメイト「うん、いいよ!」
先生「では、バスケをやろう!」

これで場は一気に盛り上がったのですが、太郎だけは、周りの子が立ち上がったのを見て、腰を上げた感じでした。

いよいよバスケが始まりました。先生が4人を指名して2対2に分け、笛を鳴らしてスタート。幼稚園児ならではのルールで、ドリブルはしなくてよく、単にボールを奪い合ってシュートするだけです。

ゴールも、子どもたちの背よりちょっと高いくらい。ボールの扱いが上手な子も、そうではない子もいましたが、どの子も楽しそうにプレーし、観戦するクラスメイトもワーワー、キャーキャーと声を上げて盛り上がっていました。

次に指名された4人、その後の4人などと続き、最後に太郎を含む4人が指名されました。太郎が最後のチームになったのは、授業を目で見て理解するための時間を少しでも確保しようという先生の配慮に違いありません。

ゲームが始まってすぐ、太郎の足もとにボールが転がってきました。チャンス!太郎はそれをすぐに拾い上げました。

園内では英語以外は話してはいけないルールとなっています。でも、これなら大丈夫、と私は「太郎、シュートー」と声援を送りました。

英語が分からないで幼稚園にいる様子にあ然

ところが、なんと、太郎は拾い上げたボールを審判である先生に手渡しに行ったのです。

さすがの先生も不意をつかれた表情です。慌てて「タロウ!プレー!(バスケをしなさい)」とジェスチャー交えて言ってくれましたが、太郎はボールを持ったまま、先生の顔を見上げています。

すぐに、他の子が太郎からボールを奪い取り、バスケは続きました。太郎は2~3分のゲーム時間ずっと、何が何だか分からないという感じでコート内につっ立っていました

私は「太郎、ボールを取って、ゴールに投げなさ~い」と、英語以外を話してはいけないルールを無視して日本語で何度も声をかけましたが、太郎は足が動かないようでした。

太郎たちの対戦が終わり、授業は終了。先生の後ろに並んで、全員がクラスに戻っていきました。どの子もバスケの興奮がまだ抜けきれず、投げるジェスチャーをしたり、大きな声で笑いあったりし、中にはうるさすぎて先生に注意される子もいました。

でも私には、怒られている子たちがむしろ羨ましく、先生の後ろにきちんと並び、静かに教室に戻っていく太郎が憐れ(あわれ)でしょうがありませんでした。

一生懸命、先生の目を見て話を聞けば、何か一つくらいは意味が解るのではないか、と子供なりに考えて行動しているのでしょう。でも現実は厳しいのです。結局、日本で英語を習ったことがなく、それまでバスケットボールとも縁がなかった太郎には、何が何だかわからないのです。

クラスメイトは4、5歳児で、できない子をからかう雰囲気はないのが不幸中の幸いでした。

――太郎はまだ小さいから、恥ずかしくも辛くもないみたいだし大丈夫。私が留学した時は20歳で、英語ネイティブスピーカーのクラスメイトの前で死ぬほど恥ずかしい思いを何度もした。見ているほうがいたたまれないぐらいの悲惨さだったわ。我が家は今、英語圏に来て正解よ。

――いや、太郎本人が希望して来たわけではないわ。友達としゃべったり、遊んだり、みんなで一緒の集団行動を楽しめる時期なのに、私はそれを取り上げてしまった。どうして太郎は毎日、幼稚園に嫌がらずに行けるのだろう。あぁ、先生や友達の話すことが理解できるくらいに、英語力を瞬時にアップしてやれたらなぁ。

私は花子を抱えているのも忘れ、もう誰もいなくなった廊下にずっとたたずんでいました。(続く)